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染付 ─世界に花咲く青のうつわ

開催期間 2019年1月12日(土)~3月24日(日)
月曜休館(ただし、1月14日、2月11日は開館)

展示概要

白い肌の上に、あるときは鮮麗な青、あるときは優しく煙る淡い青で、花や鳥、風景から幾何学的なパターンまで、さまざまな文様を描くやきもの、「染付(そめつけ)」。染付は、14世紀に元時代の中国で完成した「青花(せいか)」、すなわち白磁にコバルト絵具で絵付をする装飾技術が、17世紀初頭の日本に伝わり、浸透していったものです。そして今なお染付は、美術品としてだけではなく、日常的な暮らしのうつわとしても日本中で親しまれています。驚くべき、息の長い魅力といえるでしょう。
染付の広がりは、時間軸に沿うだけではありません。中国・朝鮮・日本といった東アジア、ベトナムなどの東南アジア、トルコ・イランなどイスラム文化圏の西アジア、さらには欧州にまで、青のうつわへの憧れと声望、その生産は、地理的にも空前の伝播力で広まってゆきました。
近年、中国における青花の完成に、西アジアの文化と人々が大きな役割を果たしたことが指摘されています。その背後には、紀元前後からシリアや東地中海地域で作られた青色ガラス器や、イスラム教寺院を飾る壮麗な青色タイルなど、この地域で育まれた「青」の伝統が垣間見えます。
この展覧会では、染付・藍彩(らんさい)など複数の技法におよぶ青いやきものを視野に入れ、深甚な影響力をもつ「染付」を、ひとつの世界言語としてとらえてみます。現代の国際社会では、思想や宗教の対立が広がる諸地域において、かつて人々は、共に青のうつわを求め、快晴の空や海を想わせる青のかがやきに、ひとしく心を酔わせていたのです。やきものという世界規模の文化が語りかけてくる言葉、多様性を示しながら、人々をひとつに結びつけた、懐深い美の物語をご堪能いただければ幸いです。

染付 ─世界に花咲く青のうつわ 出光美術館

本展のみどころ

01染付、それは最強のやきもの遺伝子 

白地に青い文様を描くやきもの「染付」は、14世紀に中国で誕生して以来、驚異的な広さと深さで影響力を発揮し続けて来ました。本展では出光コレクションの染付を一堂にして、古今東西、あまねく愛され続ける染付の魅力を、縦横に紐解きます。

02対立を超えて
─青のうつわの多様性(ダイバーシティ)

時代、地域、宗教、文化、階級を超えて求められ続けた染付は、私たち人間が生きることの多様性と共通性を映し出します。対立と分断が世界に広がるこの時代だからこそ、やきものという世界規模の文化が語るものに注目します。

03青一色ではない、カラフルな染付!?

染付は青だけとは限りません。中国で誕生した「豆彩(とうさい)」は、青で文様の輪郭を描き、その中に澄んだ翡翠色、淡い黄色などを使い、繊細な色彩世界を編み出しました。鍋島藩窯の製品も、たとえ色絵と呼ばれるものでも、その輪郭は爽やかで上品な染付の青。色彩と共鳴し合い、忘れがたい魅力を放つ青のうつわは、染付の新鮮な再発見となるでしょう。

展覧会の構成

第1章
青の揺籃(ゆりかご)
─オリエントの青色世界
第2章
中国青花磁器の壮麗
─景徳鎮官窯と民窯
第3章
温雅なる青
─朝鮮とベトナムの青花
第4章
伊万里と京焼
─日本の愛した暮らしの青
第5章
青に響く色彩
─豆彩と鍋島
第6章
旅する染付
─青のうつわの世界性

各章の解説

第1章 青の揺籃(ゆりかご) ─オリエントの青色世界

最初の染付である中国の青花磁器の完成には、元時代に活躍した「色目人」と呼ばれる中近東の人々の活動があったことが知られています。コバルトブルーに染められた青のうつわ、そのルーツには、紀元前から中近東、ローマなどで愛されてきた青色世界が垣間見えます。このコーナーでは1世紀の東地中海地域で作られた青色ガラスの「マーブル装飾瓶」や、イスラム圏の建築物を飾った「藍釉金彩文字文タイル」といった青色タイルなどに、青のうつわを育んだ豊かな文化を探ります。

マーブル装飾瓶マーブル装飾瓶
東地中海地域 1世紀 出光美術館

第2章 中国青花磁器の壮麗 ─景徳鎮官窯と民窯

景徳鎮 ─長く世界のやきもの文化をリードし、人々の憧れを集め続けた名窯で、元・明・清時代に最高峰の青花磁器が作られました。「青花」は染付の中国における呼び名です。ここでは「青花牡丹唐草文八角燭台」など、その器形に西アジアとのつながりを宿した青花をはじめ、欧州で「パレスボウル」と呼ばれて珍重された、明時代・成化年間の繊麗な官窯磁器「青花花唐草文鉢」、そして「古染付芦雁文筒形向付」のように、日本へ輸出され、茶人たちの人気を博した創意に富む民窯の青花まで、中国青花磁器の世界をご堪能いただきます。

青花牡丹唐草文八角燭台青花牡丹唐草文八角燭台
中国 景徳鎮官窯 明・永楽時代 出光美術館

第3章 温雅なる青 ─朝鮮とベトナムの青花

中国青花の影響を受けてはじまりながらも、その土やコバルト顔料のちがい、また風土と文化の違いから生まれたのが、温かくゆったりとした青の世界で魅了する、朝鮮王朝とベトナムの青花です。「青花秋草文壺」や「青花龍文壺」は、ゆがみを湛えながら豊かにふくらむ白磁壺に、のびやかで優しい筆遣いで文様を描く、朝鮮青花。「青花貼花文壺(手焙)」は、蕩けるような青灰色の絵具が優しく印象的な、ベトナム青花。青のうつわの多様なる美と包容力をお楽しみください。

青花貼花文壺(手焙)青花貼花文壺(手焙)
ベトナム 16 - 17世紀 出光美術館

第4章 伊万里と京焼 ─日本の愛した暮らしの青

日本の染付は、17世紀初頭に九州の肥前地方で誕生します。「伊万里」の名で親しまれてきた染付は日本全国に広く流通し、浮世絵にも描かれるなど、江戸後期には庶民の暮らしに浸透してゆきました。「染付草花文樽形瓶」は、木の器に親しむ日本ならではの、木製祝樽を細部まで丁寧に写した伊万里染付。一方で、京で育まれた京焼にも、青木木米(あおきもくべい)「銹絵染付煎茶碗」など、茶の湯や煎茶のうつわに染付が登場しています。さらに「彩磁六方香爐」など、近代日本陶芸の巨匠、板谷波山(いたやはざん)まで、青のうつわの系譜を辿ります。

染付草花文樽形瓶 一対染付草花文樽形瓶 一対
日本 肥前窯 江戸時代前期 出光美術館

第5章 青に響く色彩 ─豆彩と鍋島

染付は青一色、とは限りません。中国・明時代の成化官窯で作られた「豆彩龍文皿」や、清時代の雍正(ようせい)官窯「青花紅彩蝙蝠文碗」、また日本の鍋島藩窯で将軍への贈り物として焼成された「色絵更紗文皿」などの〈鍋島〉は、青で輪郭を描いた上から透明な釉薬をかけて焼き、その玲瓏(れいろう)たる表面に、緑や黄色、紅などの色彩で清澄な色絵を加えたやきものです。涼やかな青と、繊細に澄んだ明るい色の数々が響き合う「もうひとつの染付」の、精妙なる色彩の世界をお楽しみください。

青磁染付秋草文皿青磁染付秋草文皿
日本 鍋島藩窯 江戸時代中期 出光美術館

第6章 旅する染付 ─青のうつわの世界性

伊万里染付は、オランダの東インド会社によって遠く欧州まで輸出され、王侯貴族に愛好されたばかりか、欧州の陶磁器にも大きな影響を与えました。ここでは日本や中国から欧州へ輸出された染付と、フランス・セーブル窯の「黄釉藍彩吉祥文扁壺」など、これらを写した青のうつわを並べて展観します。時に伝言ゲームのように、文様が楽しい誤解を生んで思いもかけぬデザインが飛び出すもの、そして青でのびやかに絵を描くやきものが、東アジアから欧州、西アジアまで、国境を越え言語や習慣を超えて、いかに広く羽ばたいて行ったのか、染付がもつ世界性に注目します。

黄釉藍彩吉祥文扁壺黄釉藍彩吉祥文扁壺
フランス セーブル窯 18世紀 出光美術館
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