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宋磁 ―神秘のやきもの

開催期間 2018年4月21日(土)~6月10日(日)
月曜休館(ただし、4月30日は開館)

展示概要

悠久の歴史を有する中国陶磁の中で、宋時代(960 - 1279)にはその美しさが頂点に達したとも評されます。
宋時代の陶磁器である「宋磁」は、官窯(かんよう)、景徳鎮窯(けいとくちんよう)、定窯(ていよう)などに見られるように青磁・白磁・黒釉磁(こくゆうじ)などの単色の釉薬(ゆうやく)をまとい、非常にシンプルかつ研ぎ澄まされた造形性が美しく、格調高き陶磁器です。北宋時代末期から南宋時代にかけては絵画の世界で文芸復興運動がおこりました。この頃宋磁においても、中国古代の王朝が祭祀で用いた青銅器に倣った陶磁器がつくられており、古典へのまなざしを「やきもの」という立体造形で象っています。そこには皇帝や士大夫といった文人達の高貴かつ清逸な美意識が表わされているのです。その一方で磁州窯(じしゅうよう)、吉州窯(きっしゅうよう)などの搔き落としや鉄絵、さらには五彩(宋赤絵)などの色彩に変化を凝らした絵付陶磁も生み出され、それらには一般庶民の生活に根ざした活気に溢れる、ユーモラスなデザインも展開されています。
明時代の『格古要論』や清時代の『年窯墨注歌』などの文献にも宋磁の素晴らしさは語りつがれています。宋時代から長い年月を経た後世の人々もまた、宋磁に畏敬の念を抱き続けていたのです。さらに日本でも古くから唐物として知られる作品があり、近代以降には「鑑賞陶器」としても宋磁が愛でられてきました。
このように宋磁は同時代の人々にとっても、後世の人々にとっても魅力的で、神秘的なものであったといえます。本展覧会では、優雅な美、また親しみ溢れる多様な「宋磁」の世界を、宋時代前後のやきものの様相とあわせてご紹介いたします。

宋磁 ―神秘のやきもの

本展のみどころ

01約40年ぶりの開催!
中国陶磁の神髄・宋磁

当館では約40年ぶりの「宋磁」展! 借用作品をあわせて重要文化財6件、重要美術品2件を含む約110件を通して、神秘のやきもの─宋磁の世界へ誘います。

02代表的な窯(系)ごとの
様式美を見る!

官窯を頂点に、定窯、磁州窯、耀州窯など各地の窯(系)で独特の様式美が確立している宋磁。本展ではそれぞれの窯(系)の様式美を比較しながらお楽しみいただけます。

03絵画に描かれた宋磁

宋磁は実物だけでなく、絵画の中にも描かれました。そこにはどのような宋磁が描かれ、なぜ描かれたのか? 思いを馳せてご覧いただければと思います。

04茶の湯と宋磁

本展では宋磁の《茶碗》に注目。新収蔵品であり、類例が少なく珍しい釉調が魅力の龍泉窯の砧青磁で天目形の茶碗や吉州窯の玳玻天目など、厳選して紹介します。

展覧会の構成

第1章
宋磁の世界 ―神秘のやきもの
第2章
多様なる宋磁 ―窯系・様式美の展開
第3章
宋磁から元磁へ ─継承と革新
トピック展示①
宋磁の広がり ─新たなるやきもの創出への導き
トピック展示②
絵画の中の宋磁
トピック展示③
J.M.プラマー、小山冨士夫、三上次男と宋磁と出光美術館
トピック展示④
宋磁の茶碗

各章の解説

第1章 宋磁の世界 ―神秘のやきもの

宋磁は凜とした形と艶やかな質感を生みだす単色の釉薬(青・白・黒)が基本です。無文のうつわは静かで清らか、また青銅器の祭器に倣った力強さをそなえるうつわも作られます。さらにその形を生かすようにシャープな彫り文様や貼付け文様がうつわに力を与えています。それらは宋磁を代表する官窯あるいは官窯とも関係の深い耀州窯、鈞窯、定窯、龍泉窯などによく見られます。一方で、筆描きや粗放な彫り文様でデザインされ、ゆったりとした雰囲気を放つ磁州窯。ここでは神秘的な雰囲気をそなえるやきもの、さらには大らかな雰囲気で日常的に人々に愛用されていた宋磁の世界を紹介します。

白磁長頸瓶白磁長頸瓶
中国 金時代 定窯 出光美術館
青磁浮牡丹不遊環耳瓶青磁浮牡丹不遊環耳瓶
中国 南宋時代 龍泉窯 出光美術館

第2章 多様なる宋磁 ―窯系・様式美の展開

唐時代の陶磁生産は「南青北白」と称され、南方地域で青磁、北方地域で白磁が主に焼造されていたと言われます。宋時代になると、中国全域で様々な陶磁器が盛んに作られ、皇帝・宮廷用のうつわを焼造する官窯を頂点に、北方地域では定窯、磁州窯、耀州窯、鈞窯、南方地域では景徳鎮窯、越州窯、龍泉窯などに代表されるような、青磁、白磁、黒釉のうつわなど、それぞれの窯(系)で影響関係はありながらも独特の様式美が展開されます。また中国の中原の宋王朝と対峙した北方の遼王朝は、中原の陶磁器文化の影響を受けながらも、独自の陶磁器文化(遼磁)を生み出しています。本章では、窯(系)ごとの代表的な作例を中心にその特徴と造形美を辿っていきます。

青磁袴腰香炉 中国 南宋時代 龍泉窯 重要文化財 出光美術館青磁袴腰香炉
中国 南宋時代 龍泉窯 重要文化財 
出光美術館
白磁銹花牡丹唐草文瓶 中国 金時代 定窯 重要文化財 大阪市立東洋陶磁美術館白磁銹花牡丹唐草文瓶
中国 金時代 定窯 重要文化財
大阪市立東洋陶磁美術館

第3章 宋磁から元磁へ ─継承と革新

中国陶磁史の中でも最高峰の段階に達したとも称される宋磁。漢民族による宋王朝が滅び、モンゴル民族による元王朝が成立したのちも、宋王朝の官窯で作られてきた青磁の系譜は、龍泉窯において継承されます。技術は継承されながら、さらに大ぶりな作品が多く作られるようになります。一方で、宋磁とまったく異なる世界観が出現します。白い磁胎のうえに鮮やかな青色で、しかも筆描きにより文様が表される青花(染付)が出現します。そしてその青花はその後、元・明・清時代の中国陶磁史の中心的存在として新たなる時代を築いていくのです。

青花龍文壺 景徳鎮窯 中国 元時代 出光美術館青花龍文壺
中国 元時代 景徳鎮窯 出光美術館

トピック展示①宋磁の広がり ─新たなるやきもの創出への導き

宋磁は中国国内だけでなく、日本、朝鮮半島をはじめ東南・西アジアへも輸出されます。それらは、各地域で貴重かつ高価なものであり、また所持することが憧れでもありました。そのため各地域で宋磁に倣った陶磁器を独自に作りはじめます。このトピック展示では、宋磁に祖形を求められる高麗青磁と瀬戸窯で13世紀頃に作られた灰釉の梅瓶をご紹介し、宋磁が様々な国や地域の陶磁史に与えた影響の一例をみてみます。

トピック展示②絵画の中の宋磁

宋磁あるいはその美意識を継承・発展させた元時代の陶磁器は日本にも数多く舶来しました。それらは唐物とも称され、人々にもてはやされ、実際の器物のみならず、同時代や後世の日本の絵画の中にも描かれました。ここでは室町時代に描かれた「福富草紙絵巻」(当館蔵 5/15 - 6/10展示)、江戸時代に描かれた「西行物語絵巻 第四巻」(重文当館蔵 4/21 - 5/13展示)をご紹介します。そこには青磁や天目茶碗が描かれています。唐物は中世の日本人にとっては、富の象徴でもあり、絵画の中にさりげなく描かれた唐物は、富裕層にとっては身近にあって当然の必須のアイテムであったことを物語っています。

トピック展示③J.M.プラマー、小山冨士夫、三上次男と宋磁と出光美術館

青磁双魚文盤 中国 南宋時代 龍泉窯 出光美術館青磁双魚文盤
中国 南宋時代 龍泉窯 出光美術館

ここでは宋磁研究に大きな成果を残し、また出光美術館とも深いかかわりのある3名の研究者とその足跡をご紹介します。小山冨士夫(こやま ふじお 1900 - 75)と三上次男(みかみ つぎお 1907 - 87)の両先生は、東洋陶磁研究、陶磁の東西交流研究などの分野のパイオニア的な研究者で、当館の理事も務められました。米国人のJ.M.プラマー博士(1899 - 1960)は、1935年に中国の福建省で現地調査を行い、その知見をもとに「天目」に関する極めて示唆的で詳細な研究を行いました。博士の研究書《TEMMOKU》は、小山先生を通して当館から出版されました。先生方のご遺族からは、宋磁あるいは関連資料等をご寄贈いただき、当館の研究・展示活動に活用されています。ここではその一部をご紹介します。

青磁双魚文盤 中国 南宋時代 龍泉窯 出光美術館青磁双魚文盤
中国 南宋時代 龍泉窯 出光美術館

トピック展示④宋磁の茶碗

玳玻天目 中国 南宋時代 吉州窯 京都国立博物館玳玻天目
中国 南宋時代 吉州窯 京都国立博物館

11世紀頃の北宋時代において、中国では茶碗に対する美意識が大きくかわります。北宋時代の文献『茶録』の中で、茶碗は黒色が好ましいとあるように、「建盞(けんさん)」(禾目天目)、「玳玻盞(たいひさん)」(玳玻天目)など新しい茶碗が生み出されます。日本でも黒い釉薬をまとった茶碗や、青磁・白磁の碗が平安時代後期から鎌倉時代に舶来しています。また室町時代の『君台観左右帳記』では黒釉の茶碗は、「曜変」「油滴」「建盞」「鼈盞(べっさん)」など種類ごとに格付けを行っています。本家中国とは異なる独自の審美眼で楽しまれてきたのも宋磁の茶碗の魅力となっています。

玳玻天目 中国 南宋時代 吉州窯 京都国立博物館玳玻天目
中国 南宋時代 吉州窯 京都国立博物館

このほか、陶片室では特集展示「もう一つの宋磁展」を開催中です。
また、唐時代の「秘色」青磁片も展示していますので、この機会にぜひご覧ください。

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