列品解説ギャラリートークのココが楽しい!

いにしえから続く「憧れの山水」のバトンは、今も私たちのまなざしに息づいています。中国の名勝「瀟湘八景」から始まる心の旅を、学芸員のわかりやすい「列品解説」でお楽しみください。(約45分)

午前10時30分~ 10月10日(木)10月24日(木)11月7日(木)
午後6時~ 10月11日(金)10月25日(金)11月8日(金)

※事前の申し込みは不要です(入館料のみ)
※集合場所は展示室1の入口です

「瀟湘八景」に秘められた熱い願い

言葉としては知っていても、イマイチわかりにくいと言われる「瀟湘八景」。そもそも「瀟湘」とは何なのか? 列品解説では、そんな "基本のキ" から「瀟湘八景」をめぐる物語を紐解いていきます。最初に登場するのは、北宋時代の中国の役人。転勤続きだった彼は、かつての赴任先で眼にした光景が忘れられず、ある行動を起こすのですが……。約1000年にわたり愛され続ける山水の背後には、人々の熱く切実な願いがありました。

玉澗が誘う視覚の冒険

今展の始まりを告げるのは、玉澗の「山市晴嵐図」(重要文化財)。室町将軍、豊臣秀吉、松平不昧など、当代一級の権力者や茶人の手を経てきた名品ですが、その魅力を味わうには少しだけコツがいるかもしれません。今回ご提案したいのは、「抽象と具象」をポイントにした見方。荒々しく奔放なタッチのなかに潜む "あるもの" を発見すると、見る人の視覚に大きな変化が生まれます。玉澗が誘う驚きの視覚体験をご堪能ください。

雪村、探幽、守景…人気絵師はこう描く

中国の「瀟湘八景」ブームは日本にも伝わり、山水画の理想として定着します。立役者となったのは室町時代の将軍たち。今展では将軍のコレクションだった「瀟湘八景図屏風」(香雪美術館蔵、重要文化財)や、その影響を受けた江戸時代初期の作品を通して、憧れの風景がどのように描かれたのかをたどっていきます。「奇想の画家」として人気上昇中の雪村や、江戸好みの久隅守景の瀟洒な描写、そして狩野探幽・安信兄弟の画帖(個人蔵)は必見です。

鶴をつれて歩く男の正体は?

展覧会の第2章では、マルコ・ポーロが「天の都」と称えた中国の西湖にご案内します。外周15キロほどのこの湖は、多彩な文人たちの活躍に支えられ、他にはない特別な場所となりました。狩野元信が描いた緻密な「西湖図屏風」には、西湖の名物がたくさん登場します。画僧・玉澗がつとめた寺、役人としても有能だった詩人・蘇軾が築いた長い堤防、鶴をつれて歩く謎の男まで。西湖の文人世界をのぞいてみましょう。

3Dに負けない没入感! 文人たちのイメージパワー

単なる景色のよい場所が「名勝」となるには、想像力を刺激する文人たちの詩や絵の力が不可欠です。浦上玉堂の「雙峯挿雲図」(重要文化財)は、60代後半の玉堂が描いた最高傑作のひとつ。視座を大きくねじった構図には、玉堂のどんな意図が隠されているのでしょうか。池大雅や岩佐又兵衛など、個性派の作品が勢揃いする第3章は、展示室の奥に長沢芦雪の大作を配した展示構成もみどころ。近づくほど空想上の山水が立ち上がる、圧倒的な迫力が味わえます。

「憧れの山水」のかけらを探して

満開の桜、絢爛たる紅葉、金色に彩られた宇治橋……。展覧会の最終章では、日本の和歌のモチーフとなった「名所」(などころ)を旅します。魚眼レンズでのぞき込んだような田能村竹田の「三津浜図」や、青木木米の「嵐峡渡舸図」を見ると、これまで見てきたあの光景を思い出すかもしれません。そこには中国の名勝と日本の名所が二重写しにされているのです。ご一緒に、いにしえ人から私たちに手渡された「憧れの山水」の一片を探してみませんか?