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出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅢ
日本・東洋陶磁の精華─コレクションの深まり

開催期間 2024年7月20日(土)~8月25日(日)
休館日:毎週月曜休館(ただし8月12日は開館)、8月13日(火)

展示概要

出光美術館は帝劇ビルの建替計画にともない、令和6年(2024)12月をもって、しばらくの間、休館することとなりました。皆様をこの展示室へお迎えする最後の一年は、4つの展覧会によって当館のコレクションの粋を紹介しています。
当館の創設者である初代館長・出光佐三(1885−1981)は、第1期の「復刻 開館記念展」でもとりあげたように、自身の美意識や好みをもとに陶磁器蒐集を始めました。その後、コレクションを公開することを目指し美術館を開設して以降は、時代や地域の特徴を体系的にみることができるようなコレクション形成に努め、その精神は現在にまで継承されています。中でも日本や東洋の陶磁器は、当館のコレクションの核となっています。
それらを大局的な視点で見ると、陶磁器は各国・地域で相互に影響を与えながらも、自然環境や文化・伝統などを背景に独自のフォルムやデザインを生み出していたことがわかります。出光美術館の陶磁器コレクションでは、これらを介した人々の交流、情熱を感じることができます。
また本展では、金工・銅器や漆器、さらに茶道具も特集します。茶道具の特集では茶陶に加え、古くから注目されてきた書画の名品もお楽しみください。

日本・東洋陶磁の精華

本展のみどころ

01出光美術館の陶磁器コレクションの粋を紹介!

出光美術館のコレクションの核は陶磁器であり、当館は世界的にも良質な東洋陶磁を所蔵していることでよく知られています。本展では、その陶磁器コレクションの中でも名品とされる日本や中国、朝鮮半島の作品を中心に展示を構成します。高名な茶人や大名家により大切に扱われてきた茶の湯のうつわのみならず、いわゆる「鑑賞陶器」といわれる当館で最も充実した分野の作品などを選りすぐり、地域・時代別に展観します。

02一目でわかる、感じる、日本・東洋陶磁の世界観

陶磁器は鑑賞者が様々な視点で見ることができる、という点が楽しみの一つです。しかし「陶磁器を見るのって、ちょっとハードル高いな」「どれも同じように見えるけど……」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。本展では、まず初めに日本や中国、朝鮮半島でつくられたやきものの代表的な名品をとりあげ、日本・東洋陶磁の世界観をギュッと凝縮した豪華ダイジェストで紹介します。陶磁器の鑑賞は難しくないし、新しい発見があるかも!

03必見! 銅器、漆器の華やかで厳かな魅力

今回は特集コーナー「金工・銅器、漆器の精粋」で、陶磁器以外の工芸作品も紹介します。銅による作品としては中国商(殷)・周時代の青銅器をとりあげますが、中には清時代に紫禁城(現在の北京・故宮博物院)内で飾られていたと考えられる作品も含まれています。また漆器では、宝石にも見紛うような螺鈿(らでん)、漆面に金粉を押し込み、華やかで荘厳な雰囲気を放つ鎗金(そうきん)(沈金(ちんきん))の作品など、出光コレクションの誇る工芸作品の中から名品を展示します。普段、展示される機会が少ない作品を、この機にぜひご覧ください。

04特集「茶道具の精粋」では書画の名品が目白押し!

牧谿「平沙落雁図」、玉澗「山市晴嵐図」、無準師範の額字「選佛場」など、重要文化財を中心に書画を紹介します。茶の湯でも、美術史の世界でもよく知られている名品ばかりです。本展は陶磁器が主役ですが、それらと肩を並べるほどの作品を揃えました。茶の湯好きにはたまらない名品の数々もお見逃しなく。

展覧会の構成

第1章
ザ・ダイジェスト —日本・東洋陶磁
第2章
中国陶磁
第3章
朝鮮陶磁
特集1
金工・銅器、漆器の精粋
特集2
茶道具の精粋
第4章
日本陶磁

各章の解説

第1章 ザ・ダイジェスト —日本・東洋陶磁

日本、そして中国・朝鮮半島で生み出された東洋陶磁は、各国・地域の自然環境、文化・伝統をもとに独自の個性を見せています。本章では、中国陶磁に関しては「シルクロード」「皇帝のうつわ」、朝鮮陶磁と日本陶磁は「交流」「中国陶磁の影響」と「中国陶磁からの脱却」、そして「独自性の形成」にスポットを当てます。日本・東洋陶磁の相互の影響と独自性を表す陶磁器それぞれの特徴を、当館を代表する豪華ダイジェスト版としてご紹介します。

青花龍文壺
景徳鎮官窯 中国 明「宣徳年製」銘 出光美術館
粉青沙器象嵌牡丹文四耳壺
朝鮮 朝鮮王朝時代 出光美術館
色絵芥子文茶壺
野々村仁清 日本 江戸時代前期 重要文化財

第2章 中国陶磁

中国では青磁、白磁など、技術革新をもとに、いち早く堅牢かつ美しい単色の陶磁器を生み出しました。一方で、古くは華やかな唐三彩、元時代には白磁のボディーにコバルトを用いて、落ち着いた雰囲気ながらも豊かにデザインされた青花(せいか)が創出されます。そして明・清時代には赤、黄、緑、ピンクなど色彩豊かになり、また植物や動物、人物に加え吉祥の思いが込められた文様や造形の陶磁器が数多くみられるようになります。中でも皇帝・宮廷用の官窯のうつわには当時の技術の粋が凝縮されており、それらは現代においても多くの人を魅了し続けています。

琺瑯彩花卉文碗
景徳鎮官窯 中国 清「康熙御製」銘 出光美術館

第3章 朝鮮陶磁

朝鮮半島のやきものを代表する高麗時代の青磁と、朝鮮王朝時代の白磁と青花。いずれも当初は中国陶磁の影響を受けて生産が始まります。高麗青磁は釉色が美しく、同時代の高麗の人々は、あの青色を翡色(ひしょく)と称しています。中国・宋代の人々も、「天下第一」と高麗青磁を高く評価していますが、それに加えて高麗では象嵌(ぞうがん)による新しい意匠表現が流行しました。また朝鮮王朝時代には、たおやかで穏やかなフォルムが特徴的な白磁や、文様の構図・空間の使い方が独特な青花などが誕生しています。本章では、朝鮮半島で展開したユニークな陶磁器の世界をご紹介します。

青磁象嵌蒲柳水禽唐子文浄瓶
朝鮮 高麗時代 重要美術品 出光美術館

特集1 金工・銅器、漆器の精粋

東アジアの工芸作品の歴史は古く、銅や漆を素材とする作品はその代表的なものです。青銅器は中国美術の精華としても高く評価されていますが、とくに儀礼用の容器として発達しました。古くは商(殷)・周時代に流行し、それらは後の時代になっても重要視され、清時代においても商(殷)・周青銅器は珍重されます。また漆を用いた器物も歴史が古くから生産されてきましたが、貝殻や金などの異なる素材と組み合わせて、華やかさと格式高い雰囲気を放っています。本特集では、出光コレクションの中でも選りすぐりの金工や銅、漆による作品をご紹介します。

螺鈿楼閣人物図稜花食籠
中国 元時代 重要文化財 出光美術館 
【 8月6日(火)~25(日)展示 】

特集2 茶道具の精粋

鎌倉時代に禅宗とともに中国より請来された喫茶の風習は、室町時代・桃山時代・江戸時代と時が流れてゆく中で、侘び・寂びなどの日本人の美意識を反映しながら「茶」の文化を形成してゆきます。そして、茶の湯が発展すると同時に数々の美術品が賞玩され、用いられてきました。ここでは、茶入や茶碗などの茶陶のみならず、掛物や釜など、出光コレクションにおける茶の湯の名品を厳選してご紹介します。茶の湯にまつわる美術もお楽しみください。

山市晴嵐図
玉澗 中国 南宋時代末期~元時代初期 重要文化財 【 8月6日(火)~25(日)展示 】
井戸茶碗 銘 毛利井戸
朝鮮 朝鮮王朝時代 出光美術館

第4章 日本陶磁

日本陶磁は中国陶磁同様に長い歴史を有しています。弥生土器や須恵器などには朝鮮陶磁、平安時代以降の施釉陶器などには中国陶磁の影響が見えながらも、独自のやきものの生産が行われてきました。また茶の湯や懐石におけるうつわの文様や造形は、中国や朝鮮半島のそれとはかなり異なる独創性をもち、かつ生産地の違いによる多様性も生み出されました。17世紀前半、肥前地域で磁器の生産が始まると、外国へも輸出されるようになり、国外の市場を意識した陶磁器生産も行われるようになりました。さらに京の都では野々村仁清(ののむらにんせい 生没年不詳)や尾形乾山(おがたけんざん 1663~1743)など、王朝文化をとり入れた風雅で文学性に富んだ意匠のやきものが好評を得ました。

色絵花鳥文八角共蓋壺
柿右衛門 日本 江戸時代前期 重要文化財 出光美術館
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