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最新の展覧会

出光美術館の軌跡 ここから、さきへIV
物、ものを呼ぶ─伴大納言絵巻から若冲へ

開催期間 2024年9月7日(土)~10月20日(日)
休館日:毎週月曜休館(ただし9月16日(月)、9月23日(月)、10月14日(月)は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)

展示概要

出光美術館は、帝劇ビルの建替計画にともない、令和6年(2024)12月をもって、しばらくのあいだ休館することとなりました。皆様をこの展示室へお迎えする最後の一年は、4つの展覧会によって当館のコレクションを紹介しています。第4弾となる本展では、書画の作品をご覧いただきます。 物、ものを呼ぶ―このタイトルは、陶芸家・板谷波山(1872-1963)が当館の創設者・出光佐三(1885-1981)に対して語った言葉に由来します。それは、「なんらかの理由で別れ別れになっている作品でも、そのうちのひとつに愛情を注いでいれば、残りはおのずと集まってくる」という、蒐集家が持つべき心得を述べたものでした。
もともと、当館のコレクションは、江戸時代の文人画に象徴されるような枯淡な魅力をたたえた作品から出発しています。ただし、美術館としての活動がはじまった昭和41年(1966)以降は、日本絵画の歴史を体系的にとらえることを意識した蒐集が重ねられました。院政期絵巻の傑作「伴大納言絵巻」や室町時代のやまと絵屏風、〈江戸琳派〉の絵画など、いまでは当館の顔になっているような作品のいくつかが加わったのは、1980年代から90年代ころのことです。そして近年、伊藤若冲(1716-1800)をはじめとする江戸時代絵画のコレクター、エツコ&ジョー・プライス夫妻が蒐集した作品の一部を迎えたことにより、当館の書画コレクションはいっそう華やかになりました。まさに作品と作品が呼応するかのように幅を広げてきた当館の書画コレクションの粋を、心ゆくまでお楽しみください。

物、ものを呼ぶ

本展のみどころ

01当館の国宝2件がそろい踏み!

本展には、当館が所蔵する2件の国宝が展示されます。ひとつは、すぐれた筆跡の数々を折帖(アルバム)に貼り込んだ古筆手鑑の代表作「見努世友」、もうひとつは群像表現の卓抜さとストーリー展開の巧みさが際立つ傑作「伴大納言絵巻」です。当館で「伴大納言絵巻」が展示されるのは、平成28年(2016)年以来。今回は、三巻のうち、上巻をたっぷりとご覧いただきます。また、「見努世友」と一緒にならぶのは、同18年(2006)以来、実に18年ぶりのことです。ふたつの国宝に同時に出会える機会を、ぜひお見逃しなく!

02書跡・絵画コレクションの重要文化財が一堂に!

展示作品のうち、実に8割近くが指定品という豪華なライン・アップで、来館者の皆様をお迎えします。やまと絵、風俗画、仏画、文人画、さらには古筆まで―当館の書画コレクションの粋を、心ゆくまでご堪能ください。

03つながる、コレクションのバトン

江戸時代の禅僧・仙厓(1750-1837)による「双鶴画賛」は、当館の創設者・出光佐三(1885-1981)にとって最後の蒐集品となった1点です。本展は、この作品から説き起こします。そののち、国宝「伴大納言絵巻」から、室町時代のやまと絵屏風、〈江戸琳派〉、さらに伊藤若冲(1716-1800)の絵画まで、昭和41年(1966)の開館以降コレクションに加わった作品の数々を中心に展示し、当館の書画作品の蒐集活動の歩みを振り返ります。

04展覧会のここから、さきへ

開館以来、充実が図られた作品蒐集は、当館の調査・研究活動と展覧会活動の幅を広げてきました。近年でも、コレクションに新たに加わった作品によって、酒井抱一(1761-1828)の2組の十二ヵ月花鳥図を比較展示すること、〈江戸琳派〉と伊藤若冲の関わりを検証することなどが可能になりました。本展では、将来的な展覧会となりうるこれらの視点を、ちょっとだけ紹介します。当館の展覧会の「ここから、さき」をご期待ください。

展覧会の構成

第1章
江戸絵画の華
第2章
きらめく自然
第3章
調和の美
第4章
都市の華やぎ

各章の解説

第1章 江戸絵画の華

〈江戸琳派〉を牽引した酒井抱一(1761-1828)や、18世紀の京都画壇を代表する画家・伊藤若冲(1716-1800)。彼らの作品の多くは、当館が開館した昭和41年(1966)以降に蒐集されたものです。当館の創設者・出光佐三(1885-1981)が若き日に、江戸時代の禅僧・仙厓(1750-1837)の絵画を手にしたことから始まったコレクションは、現在までに多様さを増し、それによって展示活動の幅も大きく広がりました。この章では、抱一による2組の十二ヵ月花鳥図をくらべ、さらに〈江戸琳派〉と若冲の絵画をあわせて展示することで、当館の展覧会の「ここから、さき」を展望します。

十二ヵ月花鳥図貼付屏風
酒井抱一 日本 江戸時代 出光美術館
鳥獣花木図屏風
伊藤若冲 日本 江戸時代 出光美術館

第2章 きらめく自然

あふれ出る詩情を豊かな四季の変化にことよせ、あるいは、まだ見ぬ異国の風景に憧憬の念を託す―。自然の風景をテーマにした絵画は、日本美術の歴史のなかで繰り返し生み出されてきました。この章では、当館のコレクションのうち、やまと絵と文人画の分野から作品を精選します。室町時代のやまと絵屏風では、金や銀で装飾された絵画世界にたおやかな自然の姿が展開され、また、江戸時代の文人画家たちは、心に思い浮かべた情景を実際の風景と重ね合わせながら、その理想的な世界を自由闊達な水墨技法であらわしました。

日月四季花鳥図屏風
日本 室町時代 重要文化財 出光美術館
【10月1日(火)~20日(日)展示】

第3章 調和の美

日本美術における書と絵画は、常に親密な関係にあります。紙上にあらわされた筆跡は、文字として何かしらの意味を伝える記号としてのみならず、それ自体が美しい造形として鑑賞されてきました。この章では、当館のコレクションから選りすぐった古筆の数々をご覧いただくとともに、絵画と協働しながら豊かな物語世界を紡ぎ出した絵巻作品、経典とともに仏の教えを描いた絵画など、書と絵画の調和の美をご覧いただきます。

伴大納言絵巻(上巻部分)
日本 平安時代 国宝 出光美術館
古筆手鑑「見努世友」
日本 奈良時代~室町時代 国宝 出光美術館

第4章 都市の華やぎ

風俗画は、当館の絵画コレクションを特徴づける分野のひとつです。それらの画面は、都市生活を謳歌する人々の実感豊かな姿で満たされています。この章では江戸と京都で展開される、人々の営みをテーマとした絵画を紹介します。そのひとつ、「江戸名所図屏風」には、労働や遊びにいそしむ人物の様子が活写され、いまもその面影に触れることのできる社寺や自然景観ともども、現代の東京に暮らす私たちにとって身近な共感を呼び起こします。

江戸名所図屏風
日本 江戸時代 重要文化財 出光美術館
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