春秋二美人図 (しゅんじゅうにびじんず)
葛飾北斎(1760 - 1849)
江戸時代 19世紀
双幅
絹本着色
各83.1×33.8cm
生涯を通じて様々なジャンルに旺盛な筆をふるった葛飾北斎は、美人画にも優れた作品を残しています。本作品は、春と秋、ふたつの季節の美人を描き分ける趣向の双幅掛物です。右の画面は、山腹のところどころに花ひらく桜の木を背景に、菜の花のなか金扇を持つ女性の姿をとらえます。左の画面には、雲に遮られながら差す月明かりの下、女郎花が咲く平原を背景に虫籠を覗く娘を描きます。いずれの女性にも、肌には胡粉ではなく肌色が塗られ、他の北斎画とは一線を画しています。