重要文化財
更衣美人図 (こういびじんず)
喜多川歌麿(1753? - 1806)
江戸時代 19世紀
絹本着色
117.2×53.4cm
女性表現の奥義をきわめた江戸後期の浮世絵師・喜多川歌麿。多くの需要に応えるべく量産された版画作品とは違い、ひと筆ふと筆、墨と絵の具を丁寧に引き重ねて仕上げられた肉筆画の傑作です。夏の盛りのひと時、大きな丸髷を結った女性が片手で着物の褄を引き上げながら、袖口をあおいでいます。足元には、おそらく解いたばかりの帯が無造作に広がっています。首をもたげ、わずかに開いた口元には、暑く息苦しい着物から解放された女性の安堵感が示されています。