八ッ橋図屏風 (やつはしずびょうぶ)
酒井抱一(1761 - 1828)
江戸時代 19世紀
六曲一双
絹本金地着色
各161.6×397.8cm
『伊勢物語』第9段「東下り」にある三河の名所・八橋での逸話を題材とします。人物は描かず、燕子花と斜めに配した橋のみで構成されています。この構図の原案は、抱一が敬慕した尾形光琳にあります。しかし抱一の創意工夫は随所にあり、たとえば、燕子花の花群を整理し、斜めのラインを意識したすっきりとした構図にまとめています。また橋に緑青を加え、水分を含む苔が光るかのような瑞々しい風情を強調しています。材質の面では、紙本ではなく絹本に金箔を貼り、さらにその上から金泥を刷いており、マチエールを駆使して金の輝きをより重厚なものに仕立てています。