重要文化財
江戸名所図屏風 (えどめいしょずびょうぶ)
江戸時代 17世紀
八曲一双
紙本金地着色
各107.2×488.8cm
上野から品川へといたる江戸の町並みが、横長の画面に展開されています。一双画面をつがうように置かれた江戸城には、明暦3年(1657)の大火で焼失する以前の天守が描かれています。また、寛永10年(1633)に竣工した増上寺五重塔の存在も、本図のおおよその景観年代を示しています。ただし、この絵を描く絵師の関心は、都市の景観よりもむしろ元吉原や若衆歌舞伎、湯女風呂といった新興都市の歓楽に大きく傾いています。2000を超える人物のさざめきがそこかしこに聞こえてきそうです。