黒楽茶碗 銘 此花 (くろらくちゃわん めい このはな)
道入(ノンコウ 1599 - 1656)
江戸時代 17世紀
口径11.6cm
楽家三代・道入(ノンコウ)の特徴である、艶のある黒楽釉に包まれた茶碗は、心もち胴を引きしめてあり、独特の柔和さを醸しだしています。銘の「此花(このはな)」は梅の花の異名です。胴の中ほどの釉をかけ残した部分を、白い梅の花に見立て、この銘がつけられたと思われます。とろりと厚い釉の中に、花びらが淡く漂う風情は、春を告げる、清らかな梅の香を想わせます。加賀に伝わる、ノンコウ七種と呼ばれる名碗の1つです。水戸徳川家伝来。