重要文化財
中務集 (なかつかさしゅう)
伝 西行
平安時代 12世紀
紙本墨書
13.1×15.2cm
『中務集』は、10世紀中頃の女流宮廷歌人、中務の家集の写本です。4系統ある伝本の1系統の祖本で、歌数226首、大和綴の冊子本です。料紙は楮紙で、二丁に叢と板子の下絵があります。颯爽とした字形、細いが力強い筆線、伸びやかで勢いのある直線的な連綿の仮名書は、平安末期の優品です。伝西行筆の別の私家集に同筆と思われる筆跡があります。近年、この集を含む伝西行筆の私家集類は、同時期の歌人・歌学者の藤原俊成の周辺で書写された一連の歌集と判明しました。前田家旧蔵。納め箱は加賀藩御用蒔絵師五十嵐派による竹垣に秋草の蒔絵です。