「枯朶に」発句短冊 (かれえだに ほっくたんざく)
松尾芭蕉(1644 - 1694)
江戸時代 17世紀
絹本墨画・墨書
35.8×5.7cm
延宝8年(1680)冬、深川に隠棲する頃の句です。初冬の夕暮れの風景を詠んだ句で、「ふと気がつくと、枯れ枝にからすがとまっている。しばらくとまっているらしいが、静かな秋の夕暮れだ」というような内容です。もともとは「枯枝にからすのとまりたるや秋の暮」という句ですが、後に「からすのとまりけり」と改案されました。これまで元禄2年(1689)頃の改案と考えられてきましたが、本作に記される「華桃青」という署名から天和元年(1681)頃の改案と考えられています。金泥の霞が引かれた絹本に句に合わせた下絵が描かれています。
「枯朶にからすのとまりけり秋の暮」