彩磁延寿文花瓶 (さいじえんじゅもんかびん)
板谷波山(1872 - 1963)
昭和11年(1936)
高 34.0cm
桃の文様は延寿文と呼ばれ、不老長寿をあらわす吉祥の意味があり、板谷波山の好んだ意匠のひとつでした。胴の両面に大きく菱花形の窓を設け、一方には延寿文を、他方には草花文をあらわしています。重なりあう桃の実、花、葉は瑞々しく、うつわの中央から溢れ出てくるような生命感に満たされています。2つの窓の間の青地は、青海波の文様で埋めつくし、双魚が表されています。招福と和合への願いを陶芸の美に託した、類まれな力作といえるでしょう。